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■ ベートーヴェン : ピアノ協奏曲全集 (新リマスタリング):
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| ジャンル: | 音楽
| | 収録曲: | ピアノ協奏曲第1番ハ長調op.15, ピアノ協奏曲第3番ハ短調op.37, ピアノ協奏曲第2番変ロ長調op.19, ディアベッリの主題による33の変奏曲ハ長調op.120, ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58, ピアノ協奏曲第5番変ホ長調op.73「皇帝」,
| | セールスランク: | 76619 位
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| 参考価格: | ¥ 5,097 (税込)
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カスタマレビュー(この商品に対する他の方のコメント)
伝統について
アドルノは、伝統について書いた文章のはじめに、ミネルヴァの梟は日暮れに飛んでゆく、そんなことを書いた。たしかに、マーラーが伝統とはぞんざいにやってゆくことさ、と述懐したとアドルノは書いてもいた。
歴史のある楽団には、長い間の演奏活動の歴史が醸成したような演奏解釈があり、若い血気盛んな音楽家が新しい解釈をおこなうことに不満を抱く流れもある。これは、ドイツだけでなく、かってのN響と小澤の確執にもあったし、いまでも、ヴィーンには残存するだろう。ここまで書いてみて、わたしはバックハウスの音楽からこの文章が数千マイル遠くにあることに気づいたが、わたしに興味があることはバックハウスともつながっている。
バックハウスの経歴をみればわかるように、彼は19世紀最良のベートーヴェン弾きだったダルベールの唯一といってよい指導を受けた若いピアニストだし、彼がデッカに吹き込んだ録音はドイツ鍵盤音楽の極点であることは誰でも知っている。だが、バックハウスが壮年のアラウのように教条主義的なまでにドイツ的なピアニストだったか、それは考えてみる余地がある。若いころのバックハウスはバルトークがメトロノームの権化のようだと評したように、メカニックの正確さとほかの同年代の演奏家よりもはるかにモダンな、つまり、テンポルバートを廃した演奏をしていたのだし、彼の初期の録音はメカニックだけが優れたインテンポの演奏が目立つ。だが、この1950年代の録音、つまり、デッカに吹き込まれたものは若かりしバックハウスとはまったく違う。ここには、譜面をきちんと読み、それを演奏している基本的なものと、完全な技術でもって聴衆を魅了するというだけでない、長いあいだベートーヴェンにあったドイツの伝統、つまり、シュナーベルの古い録音にも通じるような「伝統」と革新という水と油が共存する、バックハウスにしか演奏できな音楽となっている。このセットのなかで、とくにわたしが好きなのはディアベッリ変奏曲である。この晩年のベートーヴェンの作品が一つにまとまって響くのは、バックハウスの力であり、その普遍性は、伝統と革新がここに共存しているからかもしれない。
比類なく美しい名演 バックハウス晩年のステレオ録音による比類なく美しい名演です。この巨匠にとって
最後のベートーヴェン協奏曲全集になるであろうことを指揮者もオーケストラも噛みし
めて、最高のサポートをしています。
白眉は第3番のライネッケによるカデンツァでしょう。1910年没のライネッケは、こ
こではベートーヴェン以後のロマン派的な語法をもまじえてドラマチックに盛り上がる
カデンツァを書いており、あたかもピアノの歴史のような、「どこまで行ってしまうん
だ」とさえ思わせるスリリングな聴かせどころとなっています。
堅固な造形美の織りなすハーモニー バックハウスは、彼以降のベートーヴェン弾きにとっては、どうしても意識せざるを得な
い壁のような存在なのかもしれないといつも思う。堅固で頑固なそれでいて人間味のある彼
の演奏が、この作品でも十二分に発揮されていて心地よい。淡々としていながら表現力が損
なわれることはなく、ときには軽快に、ときには躍動的に、まさに名職人の作品である。
バックのVPOの指揮者がイッセルシュタットというところも、個人的には好ましい。彼
のベートーヴェンのシンフォニーの解釈がとても好きだからである。もちろんバックハウス
と気心の知れたベームの演奏も素晴らしいが、VPOの弦の美しい響きなどは、まさに特筆
すべきもの。バックハウスと同様に、堅固で雄大な名人の演奏。そのハーモニーのすばらし
さを是非堪能して欲しい。
一つだけ残念なのが、特に変奏曲の録音の状態が最良とはいえないこと。無理もないこと
とはいえこれから改善されればうれしいのだが…
実に惜しい スタインウェイで弾かれたベートーヴェンは論外だと思うので ;) どちらにしてもバックハウス以外の選択肢はほとんどないのだが、なぜかベートーヴェンに関してだけは指揮者に相性のよさで知られたベームではなくイッセルシュテットが起用されている。どうしてなのだろうか。もちろんオーケストラがヴィーン・フィルだけに悪い演奏ではないのだが、バックハウスと同じ演奏スタイルを採りながら、すなわち「楽譜に忠実な演奏」を標榜しながら、誰にもマネのできないクオリティの演奏を成し遂げてしまうあの不思議なカール・ベームの指揮が聴けないのは大変残念だ。 もちろんバックハウスのピアノについては何も言うことはない。面白く弾かないことこそが重要なポイントなのである。抑制されたスタイルのうちにベーゼンドルファーを美しく響かせてさえいればベートーヴェン演奏に関しては他には何も必要がないからである。そこが例えばロマン派のピアノ曲とは異なる点だ。 大変残念だが一点減点して四点としたい。 なお、ディアベリ変奏曲はモノラル時代の録音だ。これと「ハンマークラヴィア」だけは、バックハウスはステレオで再録音せずに世を去った。もちろんテクニック的には完成された録音で素晴らしいのだが、できればステレオで再録音して欲しかった。これも残念。
味わい深いザッハリッヒカイト モーツァルト的佇まいが濃厚な1・2番に関してはもっと素敵な演奏があるかもしれない。だがベートーヴェン的全人性が開花した3~5番に関してはバックハウスの魅力全開だ。ことにベート-ヴェン的レガート奏法が散りばめられた第3番はベーゼンドルファーの雅で深い響きが徹底的に追求され、バックハウスの凄さに改めて驚嘆する。中でも第1楽章カデンツァ(通常使われるカデンツァとは違う)の凄さは必聴。形態的には思い入れと虚飾を一切排した古典的佇まいだが、その味わい深さは永遠の価値を持つ。精気溢れる伴奏も素敵だ。
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